分析!!ライトノベル~ラノベ旧刊から新刊まで~

図書館戦争

図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)
図書館戦争  図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)有川 浩 徒花 スクモ

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-04-23
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あらすじ

2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート!(『図書館戦争』より)

感想

タイトルのイメージ通りの熱い作品です。まず第一に、図書隊員が本、そして表現の自由を守るために命がけで戦う姿が熱いです。自分の信念の為に命をかける人達の姿に感動し、隊員に助けられた人がお礼を言う場面に心温まりました。

また、主人公が熱いです。主人公の笠原郁が、高校時代に出会った図書隊員の姿を健気に追いかけ続け、失敗を繰り返し、傷つきながらも、その度に成長していく姿に勇気づけられました。

物語全体を通して、理詰めの駆け引きが多く、それを考える作者の技量に感心させられます。また物語中に出てくる子供の視点が上手く表現されているところにも感心しました。そしてなにより、現実に存在する「図書館の自由に関する宣言」を小説の世界に持ちこみ、それに沿って話を進めていく発想には驚きました。(章の名前が条文になっているのだが、その章の内容と条文が見事にマッチしている)

文章は、出てくる用語の関係上固く見えますが、読んでみると、実は語彙はそれほど難しくなく、すらすら読めます。そして、一つ一つの場面が比較的短くまとまっていて、作品を通して、ダラダラせずに濃くまとまっています。個人的には女性の視点で進む物語がとても新鮮でした。

この作品には、本を愛する全ての人に通じるものがあります。素晴らしい内容でした。

分析

※一般小説は挿絵の評価はありません TOPページに戻る