幕末魔法士
幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫) | |
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あらすじ
時は幕末――。大阪適塾に学ぶ若き蘭学者にして魔法士の久世伊織は、塾長の命で一冊の魔導書を翻訳するため出雲国松江藩に赴く。そこで手渡されたのは、亡き父失脚の原因となった、古の“大崩壊”で失われた技術・魔法金属ミスリル銀の錬成炉が記された書物だった……。翻訳を開始した伊織の周囲の村で起こる神隠し、襲いかかる攘夷志士の凶刃、魔法士・金森鳶巣の暗殺。謎を追う伊織の前に、やがてミスリル銀の錬成に隠された無窮の闇が明らかになっていく。第16回電撃小説大賞<大賞>受賞。魔導の旋律が奏でる幕末ファンタジー!(『幕末魔法士』より)
感想
魔法ファンタジーと時代物のコラボレーションという、とてもユニークな作品です。サブタイトルは、「Mage Revolution」ですが、実際明治維新はそこまで関係ありません。
この小説は、女(伊織)が主人公です。それゆえ、よくある「男主人公巻き込まれ型」より、登場する男(冬馬)がヒーロー的でかっこよく、作品を盛り上げています。
どこまでもまっすぐで熱血な冬馬に対し、伊織は常に冷静で論理的。この相反する二人がいがみ合いながらも信頼を築き上げ、手を携えて敵に向かっていく姿が見どころです。
若干グロい部分もありますが、逆にあれほどまでに読者の背筋を凍らせることの出来る描写に感心しました。これも読みどころといえばそうですかね…?
文体についてですが、筆者はあとがきで、自分の文体は重めと評しています。たしかに、私も若干重くて古い感じはすると思いましたが、かえって時代物には丁度よいくらいでした。少し歴史用語の知識が必要ですが、読みにくいわけではありません。
全体的に見ても、ライトノベル的な内容にも拘わらず、いやらしい表現が使用されていないため、作品の品格が落ちていないし、それどころか、内容的に品格の高い作品に仕上がっています。
ただ、最後まで読んでも分からない場面や内容があり、「あの後どうなったんだ?」「あれはどういうことだったんだ?」といった疑問が残ります。次回への伏線でしょうか?
分析

- 内容:4
- 描写:4
- 文体:3
- 挿絵:5
- 情熱:4
- 萌え:4