分析!!ライトノベル~ラノベ旧刊から新刊まで~

犬とハサミは使いよう

犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)
犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)更伊 俊介 鍋島 テツヒロ

エンターブレイン 2011-02-28
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あらすじ

「読 ま ず に 死 ね る か !!」ある日突然、強盗に殺された俺。だが本バカゆえの執念で奇跡の生還を果たした――ダックスフンドの姿で。って何で犬!?本読めないじゃん!!悶える俺の前に現れたのは、ハサミが凶器のサド女、夏野霧姫。どう見ても危険人物です。でも犬の言葉が分かる、しかもその正体は俺も大ファンの作家、秋山忍本人だった!?どうなる俺、あと俺を殺した強盗はどこ行った――!?第12回えんため大賞優秀賞受賞のミステリ系不条理コメディ!!(『犬とハサミは使いよう』より)

感想

軽快ながらも味わい深さのある作品です。文章は一応日記形式で、生き生きと良いリズムで書かれています。

まず前半。訳があって犬となってしまった和人は飼い主の夏野に怯えるコント的な(?)日々を送ります。この辺りはギャグが多用されているため、楽しく読むことが出来ます。

しかし、後半はシリアスな展開となり、和人が「自分の死に決着をつける為」敵に向かっていきます。この辺りでは、人間の複雑で繊細な心の在り方が描かれており、時に感動し、時に共感でき、時に「はっ」と気づかされる、とても素晴らしい見どころとなっています。このように、心情描写は高度なものでした。

動作に関しても、なかなか細かく描写されており、あの斬新な武器を用いた戦い方が良く伝わってきます。

この小説に特徴的な物といえば、やはり本文の間に挿入されている「用語集」でしょう。そこで人物やアイテム等についての補足説明をするため、読者の視野は広がります。

もう一つの特徴として、この作品は二人の作者が協力して書いているということがあります。どのように分担しているかは分かりませんが、ズレを感じることもなく、通常の作品と同じようによくまとまっています。

全体的には、味わい深さはあるものの、内容は浅めです。しかし、問題を感じる程ではありません。

分析

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