犬とハサミは使いよう3
犬とハサミは使いよう 3 (ファミ通文庫) | |
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あらすじ
相も変わらずドSな夏野の飼い犬な日々を送る俺。そんなある日、夏野が誰かに見られていると言い出した。それ警察だろ、いつも犬をいじめてるから。だが夏野との外出後、帰宅して愕然。留守中に本が一冊増えていたのだ。誰かが忍び込んだのか?だが何で、どうやって!?実は夏野は人気作家秋山忍。ストーカーの一人くらい、いても不思議はないのだが……調べる中で浮かんだのは、秋山忍そっくりの作風を持つ新人作家で!?大人気不条理コメディ第3弾!(『犬とハサミは使いよう3』より)
感想
ミステリ系不条理コメディー第三巻です。前回ほどミステリっぽくはありませんが、今回も事件を発端としてそれを解決する形で話が進んでいきます。
まず前半ですが、前作にも増してコントがパワーアップしています。もう笑わずには読めないほどです。もはや文のほぼ全てがギャグの塊といっても過言ではありません。比喩として色々なネタが出てきますが、ジャンプ系のネタが多い気がします。ギャグの波に乗せられるとあっという間に前半は読み終わってしまいます。
中盤は、シリアスな場面がいつのまにかコントとなっており、なんとも締まらない感じです。あと、微妙にと言うかまさしくと言うか下ネタです。面白いからいいんですが。
そして終盤。心温まる回想を挟んで、シリアスな決戦へと物語は向かいます。一瞬二巻の既視感を覚える場面がありますが、決戦は三巻オリジナルのこれまた斬新な戦いです。身を危険に晒しながらぶつかり合う派手な戦いではありませんが、緊迫感の漂う熱い戦いで、つい見入ってしまいます。
さらに、シリアスな場面の心情表現は詩的で、一言一言からジーンと想いが伝わってきます。
全体的には、メッセージ性はそこまで濃くないにもかかわらず、コントと緊迫感のコンボにより手が止まらず、とても速く読むことができます。そのような意味では内容が濃い作品のようにも思います。
分析
- 内容:4
- 描写:4
- 文体:5
- 挿絵:4
- 情熱:4
- 萌え:3