涼宮ハルヒの退屈
涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫) | |
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あらすじ
ハルヒと出会ってから俺はすっかり忘れた言葉だが、あいつの辞書にはいまだに“退屈”という文字が光り輝いているようだ。その証拠に俺たちSOS団はハルヒの号令のもと、草野球チームを結成し、七夕祭りに一喜一憂、失踪者の捜索に熱中したかと思えば、わざわざ孤島に出向いて殺人事件に巻き込まれてみたりして。まったく、どれだけ暴れればあいつの気が済むのか想像したくもないね……。非日常系学園ストーリー、天下御免の第3巻!!(『涼宮ハルヒの退屈』より)
感想
今回は四本立ての短編集です。時系列的には「涼宮ハルヒの憂鬱」と「涼宮ハルヒの溜息」の間にあたります。いつも通り、キョンの渋い口調で物語が語られます。
1話目「涼宮ハルヒの退屈」は、SOS団が草野球に出るという話です。しかし、どちらかといえば、ただ野球中継を見ているような感じで、SOS団らしさはあまり出ていないように思いました。
2話目「笹の葉ラプソディ」は、七夕の日に三年前にタイムスリップするという話です。個人的には今回一番ハルヒシリーズらしい話だと思いました。時間移動が関係するため、伏線も多くなっています。そのため、「そういうことだったのか」という発見が多く、楽しい回です。
3話目「ミステリックサイン」は、50ページ程度の短い作品だけあって序盤のたるみも少なく、サクサクと話が進んでいきます。しかし、その短さ故か、やや展開に無理があり、内容もあっさりしているような気がしました。
4話目「孤島症候群」は、完全な推理小説です。殺人現場のシーンから始まり、回想を挟み、そして推理、解決という流れです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、結末は意外です。そしてヒントはしっかりと文中にあり、解決の理論に矛盾も無く、推理小説としてはよく出来ています。さらに、ハルヒとキョンが手をつなぐシーンが出てきて、とてもいい感じでした。ただ、この話もSOS団らしい超常現象とは関わりが薄いです。
全体として、メッセージ性は強くありませんが、短編集らしく軽く楽しめる作品です。
分析
- 内容:3
- 描写:3
- 文体:5
- 挿絵:4
- 情熱:2
- 萌え:4