灼眼のシャナⅤ
灼眼のシャナ〈5〉 (電撃文庫) | |
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あらすじ
「決めた。私は絶対フレイムヘイズになる」アラストール、ヴィルヘルミナ、謎の白骨。彼らは外界と隔離された宮殿に、一人の少女とともに暮らしていた。その未熟な少女はまだ名前を持っていなかったが、いずれフレイムヘイズ“炎髪灼眼の討ち手”となるべき者だった。そして、その時はすぐそこまで来ていた。“紅世の徒”の襲来が引き金となり、史上最悪のミステス“天目一個”まで呼び込んだ戦場を舞台にして、少女は運命の“契約”を迎える。奇才・高橋弥七郎が描く『灼眼のシャナ』誕生秘話!巻末に絵師・いとうのいぢ先生のラフスケッチ集も収録!(『灼眼のシャナⅤ』より)
感想
今回は、本編(?)のストーリーを一回中断して、フレイムヘイズとしてのシャナの誕生に関する物語が語られています。
前半では、シャナのあの性格が形成されたの理由が明かされています。なるほど納得という感じです。しかし、新たな世界観の説明に文が裂かれている為か、はたまた作者曰く「殺風景な面子」しか登場しない為か(というよりラブコメ要素があまり無い)やや単調な感じでもあります。
後半になると、いつもの如く派手な戦いが始まります。今回は、敵の数が多い為、バトルの回数も多くなっています。それゆえ一つのバトル当たりに裂かれているページ数は少なく、あっさりしているようにも見えますが、バトル自体はあっさりしすぎていると言う程でもなく、激動の展開が濃縮されて描かれています。バトルのみならずストーリーも激動です。シャナはこのバトルである節目を迎えます。
今作で注目すべきは、各章の間にある「幕間」です。詩的な文体の為、行間を読まなければならない難しさはありますが、意味を解せば今回の話の背景が分かり、話に奥深さが出てきます。背景の説明に一つの章を裂く代わりにこの形式を採ることに作者の凝りを感じます。
作者は相変わらず描写が上手いです。水に関する緊迫感漂う描写に「はっ」とさせられたし、別れのシーンは哀愁のいい味が出ていました。
今回この作品を読んで考えさせられたのは「愛で縛る」ことです。少なくとも三つの例が考えさせてくれます。そしてそれぞれ結果は……。
分析
- 内容:5
- 描写:5
- 文体:5
- 挿絵:5
- 情熱:4
- 萌え:4