エスケヱプ・スピヰド弐
エスケヱプ・スピヰド 2 (電撃文庫 く 9-2) | |
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あらすじ
自国の今を知るため、帝都《東京》にやってきた九曜と叶葉。復興の進む街で、九曜は機械兵を連れた不遜な少女に襲われる。『第三皇女・鴇子』だと名乗る少女は、九曜に自らを守るように命令する。誰から何故追われているのか記憶がないと言う鴇子。そんな彼女を九曜は訝しむが、叶葉は放っておけないと言う。叶葉の懇願により、九曜は鴇子の情報を求め、軍の地下施設を訪れる。そこで彼を待ち受けていたのは、全滅したはずの《鬼虫》シリーズの一人で――!?最強の兵器《鬼虫》たちが繰り広げる神速アクション、第18回電撃小説大賞<大賞>受賞作第2弾!
感想
前作に劣らない「弐」巻です。前作ほど「熱さ」や「芯」は感じられませんが、茶番、展開、戦闘それぞれの場面がそれぞれ完成度が高く、各々のバランスも良く、読んでいて飽きませんでした。
まず茶番。九曜と叶葉は第三皇女・鴇子と名乗る少女に振り回されます。爆笑するような話ではありませんが、何かと微笑ましいです。茶番の進行に伴い、徐々に彼らは事件に関わっていきます。
次に展開。不穏な雰囲気の中、徐々に核心に近づいているのが分かるのに、肝心の事実が中々分からない、 というように上手く焦らしてきます。そして急に分かる事実はとても残酷で衝撃的で、予想も出来ないものでした。しかし後から読み返すと、ちゃんと伏線もあったようです。
間髪入れずに物語は決戦へ。開けた所での直球勝負もいいですが、今回は建造物の構造を巧みに利用した戦闘で、とてもダイナミックな印象です。最後に技を決める時の集中感は前作の醍醐味でしたが、それは今作でも健在です。一瞬が永遠に思えるあの感覚はやみつきになります。本から目が離せなくなりました。
また今回は、闇の中で炸裂する光の描写がとても美しいです。前作でも光に関する描写には感嘆したものですが、著者の得意とする所なのでしょうか。
話の合間には、九曜と叶葉がいい感じで、見ていてニヤニヤしてしまう場面も数か所あります。時が進んだ弐巻ならではのありがたい光景です。
物語が続くような感じで(むしろここからという感じで)弐巻は終わっているので、続刊を期待したいです。
分析
- 内容:3
- 描写:4
- 文体:3
- 挿絵:4
- 情熱:4
- 萌え:4