分析!!ライトノベル~ラノベ旧刊から新刊まで~

RAIL WARS!④

RAIL WARS!〈4〉日本國有鉄道公安隊 (創芸社クリア文庫)
RAIL WARS!〈4〉日本國有鉄道公安隊 (創芸社クリア文庫)豊田 巧

創芸社 2012-11
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あらすじ

「高山!この裏切り者ーーー!!」桜井あおいの撃った弾丸が俺の頭をかすめる。おかしい、桜井が痴漢から助けた中二女子佳奈ちゃんの進路相談にのるだけだったはずなのに、なんで俺銃で追い回されてんの。えっ!國鉄の分割民営化を企む「RJ」の大規模テロがはじまった?24時間以内に解決しないと國鉄解散!冗談じゃない!俺の一生安泰國鉄人生のため、今度は戦争だ!!國鉄が分割民営化されなかったもう一つの日本を舞台に、夢の鉄道パラダイス・エンタテイメント第四弾!閉塞注意!!(『RAIL WARS④』より)

感想

今回は3巻からの続編扱いですが、前回から一応の区切りはついていて、話はまた日常から始まります。

その冒頭が「ロウきゅーぶ!」式の詐欺なのはいいとして(しかし「ロウきゅーぶ!」ほど騙し方には凝ってはいない)、あらすじにそれをのっけて強調するのはどうかと思います。下手したら「釣り」の汚名をもらうことになりかねません。

さて、内容ですが、今回は貨物関係の場所が舞台となるので、既刊と比べて、一般の人にとっては馴染みの無い舞台となります。そのため、読んでいて新たな世界を見ることも出来ましたが、どうも実感に乏しいというのが感想です。

それに対して世界観は、現代日本のパラレルストーリーのため、現代の情勢を反映しており、相変わらず妙に現実感があります。

しかしそれが災いして、細かな矛盾にどうしても目がいってしまいます。しかもそれが物語の進行に少なからず重要な部分であるのでなおさらです。普通に考えるとあれは水没してるのでは?

推理についても、もう少し証拠や手がかりを多くすることで、深い物にしてもいいのではないかと思います。今回はその推理の浅さを使って話を進めている部分もありますが、一つの見どころを生み出せずに終わっている感じがして少し残念です。

お待ちかねのバトルについてですが、銃撃戦で盛り上がる感じは悪くないのですが、位置関係がどうも分かりにくいです。気の利いた表現や情報が足りないのもありますが、表現上の問題で間違った意味にとれる文があるのも混乱を増す要因かと思います。

上記の他に、明らかに違和感のある表現や、誤字も見受けられました。お願いだから出版する前に一回読んでください…誰でもいいから…。たった一回読んで分かるレベルです。

さらに、一見いい場面に見える部分でも、なにか物足りなさを感じました。気の利いた表現が欲しい所だし、もしかしたら高山の考えや想いをあまり書いていないために、場面が心に引っかからずに流れていってしまったのかもしれません。これはあくまで推測ですが。

そして終盤には何故か定型文そのままの死亡フラグが…いくらなんでもこれは場違いなのに笑ってしまうレベルで、逆効果にさえ思えます。せめてもっと砕いた形で使ってくれないと…

総合して今回は、やっていることの割には実感に乏しい感じ、別の言い方をすれば、感情移入を妨げる要因が多い、と言えると思います。

分析

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